尿酸は常に入れ替わりながら一定の量に保たれている
尿酸は人間の体内で1日に約700mg作られているといわれています。
そして、健康な人の体内でも常に約1200mgの尿酸が蓄積されています。
この体内に溜まった尿酸を総称して尿酸プールといいます。
尿酸プールには体内で合成される尿酸のほかに食品から摂りこまれる尿酸も全て含まれています。
約1200mgのうち1日に約700mg程度が尿や汗として体外に排泄されます。
その中の約500mgは腎臓から尿に排泄され残りの約200mg が汗、または腸管から便と一緒に排泄されていきます。
そして、尿酸を作るのは主に肝臓で摂取した食物から約100mgから150mg 、体内の細胞の核さんからは約550mgから600mgほどの尿酸を産生しているといわれています。
尿酸は毎日、このような産生と排泄を繰り返していて、その約半分が入れ替わり量は常に一定に保たれています。
この尿酸の産生と排泄のメカニズムが生活習慣の乱れなどで狂ってしまうことで、血液中の尿酸の量が増えすぎてしまいます。
この状態で血性尿酸値が7.0mg/dL以上になると高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症には3つのタイプがある
高尿酸血症と診断される7.0mg/dL以上になる理由としては、
- 体内で尿酸値が過剰につくられてしまっている
- 尿酸の排泄がうまく行われない
- この2つのことが同時に起きている
の3つの理由があり、それぞれタイプがあります。
尿酸産生過剰型
尿酸産生過剰型は尿酸の排泄能力は正常に働いているのですが、体内でつくられている尿酸が排泄能力を上回ってしまっている状態です。
この原因は、主に体内の尿酸合成が多すぎたり、プリン体を多く含む食品を摂り過ぎていることにあり、尿酸プールが溢れてしまっている状態です。
尿酸が過剰に作られてしまう原因としては、
- 激しい運動
- 強い精神的ストレス
- 過度の飲酒
- 肥満
- 薬の副作用(降圧利尿剤、抗結核薬、免疫抑制剤など)
- 遺伝的体質
などが挙げられます。
尿酸排泄低下型
尿酸排泄低下型は日本人の高尿酸血症の約6割を占めていると言われています。
体内でつくられる尿酸の尿は正常なのですが、腎臓からの排泄機能が低下してしまっているので体内に尿酸が処理されずに残ってしまっているタイプです。
日本人にこのタイプが多い理由としては、体質的に腎臓で排泄する能力が低いことが原因として考えられています。
また、動脈硬化や高血圧、糖尿病、腎炎など腎臓機能の低下を引き起こす病気も尿酸がうまく排泄されなくなる要因にもなります。
尿酸産生過剰型と尿酸排泄低下型の混合型
混合型は、尿酸産生過剰型と尿酸排泄低下型が合併したタイプです。
尿酸がつくられる量が多く、排泄の能力も少ない一番厄介なタイプです。
高尿酸血症の人の約2割がこの混合型と言われています。
自分がどのタイプの高尿酸血症に属するかは畜尿検査でわかる
以上で3つのタイプの高尿酸血症を説明してきましたが、自分がどのタイプの高尿酸血症に属するか気になる人も多いと思います。
自分がどの高尿酸血症のタイプになるかは畜尿検査といわれる検査で知ることができます。
高尿酸血症で重要なのは、なぜ尿酸が過剰につくられるのか?
もしくは、なぜ尿酸の排泄が低下してしまうのか?
その原因を明らかにして改善していくことが必要になります。
自分の高尿酸血症のタイプを知ることは、高尿酸血症の原因の特定や治療薬の選定、治療方針に関わってくるので非常に重要です。